歴史的遺産を観光すると、当時の歴史や生活を擬似体験できるとよく言われますが、その中でもマハーラーシュトラ州は最高な場所の一つです。インドの初中世から英国による植民地時代にかけて(550年~1947年)、マハーラーシュトラ州は多くの素敵な歴史的建造物や遺産の他、無形の文化と共に発展した場所なんです。
歴史的なアウランガバードに泊まる場合(ムンバイから北東に約350km)、美しい世界遺産のアジャンタ石窟群とエローラ石窟群は見逃せません。多くの外国人、またインド人でさえもアジャンタ石窟群とエローラ石窟群が同一の場所に存在していると思っていますが、実際にはこれらの場所は互いに100kmも離れています。
石窟群という言葉はあまり聞き慣れないと思いますが、簡単に言えば岩山を人工的に掘削して造り出した建築物です。石窟はその湿った地形から虫、両生類、コウモリ等の小動物も住処にしているので、初めは何の面白さがあるかな?と考えるのは当然でしょう。しかし、この場所は特別で魅力の溢れる場所ということをこれから説明します。
写真:カイラーサナータ寺院の北にある第22と第28の石窟群。梅雨の時滝が見られる
この石窟群の昔の名前は「イラプラ」で、5世紀から10世紀にかけて建てられ、ヒンズー教や仏教やジャイン教の建築様式を見ることができる完璧な場所です。マハーラーシュトラ州のサヒヤドリ山に位置され、ラーシュトラクータ朝の色々な王様に建てられたこの石窟群はインドのロックカット建築の典型として考慮しています。もし昔の建築に興味があればこの場所は本当におすすめなんです。
全部で100石窟がありますが、残念ながら現在は34の石窟にしか立ち入ることができません。各石窟に番号を割り振ることで、どの宗教の影響を受けた建築様式かを簡単に見分けることができます。
第1~第12の石窟群は仏教石窟群、第13~第29の石窟群はヒンズー教石窟群、それから第30~第34の石窟群はジャイン教石窟群です。
ウィシュワカルマ石窟群(第10石窟)は650年頃に建てられました。エローラ石窟群の中で一番人気がある石窟で、30個の八角形の石柱とこの石窟群にしかないチャイティヤ館(祈願所)の端に高さ3.30メートルの仏陀(お釈迦様)が鎮座されています。仏教にはウィシュワカルマという職人の神様がいることから、この石窟群の名前はウィシュワカルマと名付けられています。チャイティヤ館(祈願所)の中はリブボールト造りとなっているので、祈願所の中では声や音が反響するようになっています。
ダシャーヴァターラ石窟群(第15石窟)には名作の一つのヴィシュヌ神の10の化身の彫刻が展示されています。周りの壁にはシヴァ神とヴィシュヌ神の信教はの彫刻で表現されています。
ヒンズー教石窟群の中で最もおすすめなのは8世紀にラーシュトラクータ朝のクリシュナ1王様によって建てられたカイラーサナータ寺院(第16石窟)です。ウェサラ風の建築で建てられたこのお寺のシカラ(ヒンズー教のお寺の一番高い部分)と石柱は繊細に彫刻されています。この寺院の庭園にはヒンズー教の物語を伝えるナンディ寺院、また5つの寺院もあります。
写真:左:カイラーサナータ寺院の外側 中央:カイラーサナータ寺院内側 右:カイラーサナータ寺院は兵車みたいの俯瞰図
この寺院の事実と不思議~
この寺院には山のような構造物があるので北インドのカイラス山に似ていると言われています。
世界の一番大きなモノリシックの構造物です。
全ての構造物はたがねとハンマーのみを使用し、カットアウトロック方法で彫刻されたことは信じがたい事実の一つです。
世界で一番大きな石のカンチレバーがあります(今から千年も前にそのような技術があったことは信じられません)
当時、7000以上の職人が1日16時間働き、カイラサ寺院はわずか18年間で完成されました。
1682年にはムガル帝国のアウラングゼーブ王がこの寺院や石窟群を壊すために1000人もの兵を派遣しましたが、石の構造物であることから少数の像のみが破壊されるだけにとまりました。
伝説によると、この寺院の近くにある小さなドアから、地下にある昔の未発見の地下町に行けるそうです。残念なことに、政府が地下町に通じるドアを閉じているので、その場所へは立ち入ることはできません。
インドラサバ(第32石窟)ジャイン教石窟群の中に一番きれいな石窟群です。ここでジャイナ教のティールタンカラ(救済者・祖師)の彫刻や建造物が見られます。それに、内側にあるお堂ではジャイン教の祖師マハウィラが座っている彫刻もあります。
以上がエローラ石窟群でおすすめしたいヒンズー教、仏教やジャイナ教の石窟です。しかし、エローラ石窟群にはまだまだ興味深い彫刻がたくさんあります。
この石窟群の素晴らしい建築物は8世紀から10世紀にかけて統治したラーシュトラクータ朝に建てられました。今日、ラーシュトラクータ朝は存続していませんが、現在でもその複雑で珍しい建築物に触れることができます。
今度、アウランガバード町にある美しくて面白い世界遺産のアジャンタ石窟群に関する説明をします!
それまで皆さんお気をつけて~
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